高知工科大学の各学部の偏差値や難易度は？就職状況などもご紹介！

高知工科大学は、当時4年制の工学系学部が存在しなかった高知県に1997年に設立された公立大学です。
「日本にない大学」を目指し、日本の他大学に先駆けた先進的な教育システムを採用していることで知られています。

香美市と高知市にキャンパスを構え、うち香美キャンパスはその美しさから2つの栄誉ある賞を受賞していることでも有名です。

この記事では、そんな高知工科大学に興味をお持ちの方のために、高知工科大学の偏差値や入試難易度をはじめ、大学や学部の特徴、就職状況などもご紹介します。

高知工科大学の基本情報

出典：高知工科大学、パスナビ

高知工科大学の偏差値・難易度

高知工科大学には「学部」はなく、システム工学群を筆頭に4つの「学群」が設けられています。

学群の詳細については後述しますが、まずは高知工科大学の偏差値および入試難易度を学群別に見ていきましょう。

偏差値

高知工科大学の学群別の偏差値および共通テスト得点率は、以下の表の通りです。

出典：パスナビ

入試難易度

上記の表で示した通り、システム工学群・環境理工学群・情報学群の偏差値はおよそ42.5～47.5、共通テスト得点率は55～69％の間におさまっています。難易度は比較的易しめで、情報収集と対策を怠らなければ十分合格を目指せるでしょう。

経済・マネジメント学群のみ、試験日程・方式によっては偏差値が50を超えています。
共通テスト得点率は60%～69%で、こちらは標準的な難易度です。

なお、2020年度の一般入試の実質倍率は、システム工学群で4.4倍、環境理工学群で3.2倍、情報学群で3.8倍、経済・マネジメント学群で3.0倍でした。
2020年度は若干倍率が高めだったようで、例年倍率は2倍～3倍程度で推移しています。

高知工科大学の特徴

続いて、高知工科大学の特徴をご紹介します。

高知工科大学は、

• 日本屈指の美しいキャンパス
• 先進的な教育システム
• 「THE世界大学ランキング日本版2021」教育充実度第1位

特徴1：日本屈指の美しいキャンパス

高知工科大学は高知県内に2つのキャンパスを有しています。

うち高知県香美市にある香美キャンパスは、その優れた景観から「アメリカ景観建造物協会優秀賞」や「公共建築賞優秀賞」を受賞した経験を持ち、日本屈指の美しいキャンパスとして有名です。

キャンパス周辺に塀やフェンスはなく、開放感に溢れた明るく緑豊かな敷地は地域住民にも開かれています。
また、レトロな雰囲気のレンガと近代的なガラスやコンクリートを組み合わせた建造物は独特の魅力を醸しています。

中でも、24時間利用可能な「附属情報図書館」は吹き抜け構造とガラス張りの外観が非常に美しく、建物の中からも外からも景観を楽しめる建物です。

特徴2：先進的な教育システム

「日本にない大学」を志す高知工科大学は、開学当初から様々な先進的教育システムを積極的に取り入れてきました。

高知工科大学はクォーター制を日本で最初に導入した大学です。
クォーター制とは1年を4つの学期に分け、8週間を1期とする制度であり、現状、日本の大学の多くはセメスター制（2学期制）を採用しています。

クォーター制を導入した高知工科大学では、1科目を週2回のペースで学びます。
授業の間が1週間も空いたりせず、これにより1学期中に同時に学べる科目数も少なくなるため、授業内容が定着しやすいという利点があります。

また、「学部」ではなく「学群」を設けているのも、高知大学独自の取り組みです。
欧米の大学で一般的な教育システムをアレンジしたこの制度は、カリキュラムを固定化することなく、多彩な領域から目的や興味に合わせ柔軟に学ぶことを可能にしています。

このほかにも、早期卒業制度やオフィスアワー制度など、当時の日本では馴染みの薄かった先進的な制度を積極的に取り入れ、「人が育つ大学」というモットーを貫くための新しいシステムを追求し続けています。

特徴3：「THE世界大学ランキング日本版2021」教育充実度第1位

高知工科大学は、「THE世界大学ランキング日本版2021」の教育充実度ランキングで、特に高いスコアを記録しました。
「教育充実度」とは教育への期待がどれだけ実現されているかを表すもので、全国の高校教員と在校生の声からスコアが算出されます。

この教育充実度ランキングにおいて、高知工科大学は、四国の国公私大として4年連続で1位を獲得しました。
なお中国四国の国公私大では第3位、全国の公立大でも第9位と上位を記録しています。

また総合ランキングにおいても、全国第91位、中国四国で第8位、四国では第3位と高い順位を獲得しており、「人が育つ大学」を目指す取り組みが高く評価されていることがうかがえます。

高知工科大学の学部情報

前述のとおり、高知工科大学には、一般的な日本の大学にみられる「学部」がありません。
代わりに、欧米の大学で一般的な教育システム「メジャースタディ」「マイナースタディ」をアレンジした独自の「学群」を設け、学生が自由に学びの形を選び取ることを重要視しています。

この制度では、従来の学部制のようにカリキュラムが固定化されていません。
学群の中はより細分化された「専攻」に分かれ、学生は3年次に、希望する分野を専攻として1つ選びます。
その際、周辺領域や関連分野、その他興味のある分野を「副専攻」として複数選択することができるのです。

例えば「環境汚染測定用センサの開発」を志す場合、専攻に「化学専攻」を選択し汚染物質について学ぶ傍ら、副専攻に「電子・光工学専攻」を選択することで、センサの知識も併せて学ぶことが可能になります。

現在高知工科大学が擁する学群は、システム工学群、環境理工学群、情報学群、経済・マネジメント学群の4つです。
以下、それぞれの学群と専攻についてご紹介します。

システム工学群

システム工学群は、「ものづくり」について幅広い視野と深い専門性を併せ持つ技術者を育成する学群です。
工業技術の基盤となる5分野すべてにまたがる基礎を身につけた後、専攻や副専攻を通じて専門性を深く追求していきます。

システム工学群に属する専攻は、下記の5分野です。

• 知能機械工学専攻：高度に知能化された次世代のものづくり技術で社会に貢献する
• 航空宇宙工学専攻：極めて高度な技術が要求される宇宙機器の設計・開発を学ぶ
• エネルギー工学専攻：次世代エネルギーシステムの構築・マネジメントを学ぶ
• 電子・光工学専攻：電子工学と光エレクトロニクス技術で日本の未来を担う人材を育てる
• 建築・都市デザイン専攻：安心・安全・心豊かな社会をデザインする能力を養う

出典：高知工科大学　システム工学群

2年次への進級時、学生は機械系・電子系・建築系から1つを選択します。
そして3年次には、自らが選択した系に関連した専攻群の中から、自分の専攻を選択することになります。

機械系の学生は「知能機械工学専攻」「航空宇宙工学専攻」「エネルギー工学専攻」から1つ、電子系の学生は「電子・光工学専攻」「航空宇宙工学専攻」「エネルギー工学専攻」から1つを選べますが、建設系の学生は自動的に「建築・都市デザイン専攻」が選択されます。

環境理工学群

環境理工学群は、物理学・化学・生物学分野の多彩な領域で研究・教育を推進している学群です。
各分野の基礎を幅広く学んだ後、学年と共に専門性を高めていき、製造業や公的機関の専門・技術職として活躍できる人材を育成しています。

環境理工学群に属する専攻は、下記の4分野です。

• 環境数理専攻：自然科学・環境学の幅広い知識とデータサイエンスのスキルを身につける
• 化学専攻：広く化学の知識を学び、機能性物質や環境負荷の少ない合成手法の開発を目指す
• 生命科学専攻：生化学・遺伝子工学・細胞工学など、生命科学の先端手法を学ぶ
• マテリアル工学専攻：幅広い自然科学の知識を基に材料科学を学び、新材料開発に取り組む

出典：高知工科大学　環境理工学群

環境理工学群では理科・数学・工学の教員免許のほか、理系学芸員の資格も取得することができます。

情報学群

情報学群は、情報社会の未来をデザインする先端研究を推し進め、人にやさしい次世代情報技術を追求している学群です。
日々高度化する情報システムに対応できる技術者・研究開発者を育成することを目的としています。

情報学群に属する専攻は、下記の4分野です。

• 情報と人間専攻：人間の優れた知的能力を解明し、より高度な情報システムをデザインする
• 情報とメディア専攻：デザイン・情報メディアやネットワークの技術、システムのあり方などを学ぶ
• 情報通信専攻：コンピュータネットワークに関する深い専門性を身につける
• コンピュータサイエンス専攻：ハード・ソフトの両面から情報工学を体系的に学ぶ

出典：高知工科大学　情報学群

なお、情報学群では情報と数学の教員免許が取得できます。

経済・マネジメント学群

経済・マネジメント学群は、社会・経済の様々な課題を解決する社会システムの設計・マネジメントの能力を有した人材を育成する学群です。
経済・経営両分野の基礎を学んだ後、マネジメント能力の土壌づくりを進めながら、各々の専門領域を極めていきます。

経済・マネジメント学群に属する専攻は、下記の7分野です。

• 人間行動専攻：経済・経営学に加え、社会科学や生物学、心理学や人間の実際の行動に関する科目を学ぶ
• 経済政策専攻：経済学や人間の特徴について広く理解したうえで、政策系科目を学ぶ
• 数理経済マネジメント専攻：経済・経営学に加え、高等数学や数理経済についても学ぶ
• 地域・行政システム専攻：地域経営や行政経営を学び社会システムの創造・マネジメント能力を培う
• 企業・起業マネジメント専攻：経営戦略や簿記・会計学など、マネジメントに関する様々な分野を学ぶ
• 国際経済マネジメント専攻：各種経済・経営系科目や英語教育、海外研修を通じ豊かな国際感覚を養う
• スポーツマネジメント専攻：スポーツビジネスの分野で求められるマネジメント能力を磨く

出典：高知工科大学　経済・マネジメント学群

経済・マネジメント学群では、公民や社会の教員免許が取得できます。
また、数理経済マネジメント専攻に限り、文系学群にもかかわらず数学の免許を取得可能です。

高知工科大学の就職状況

最後に、高知工科大学の就職状況をご紹介します。

2021年春の卒業生の就職率は、工学系3学群で94.6％、経済・マネジメント学群で96.7％にのぼりました。
過去5年にさかのぼってみても就職率が90％を割ることがなく、高い水準で推移しています。

過去3年間における各学群の就職先を以下にまとめます。

システム工学群卒業生の就職先

出典：高知工科大学　就職先

環境理工学群卒業生の就職先

出典：高知工科大学　就職先

情報学群卒業生の就職先

出典：高知工科大学　就職先

経済・マネジメント学群卒業生の就職先

出典：高知工科大学　就職先

まとめ

以上、高知工科大学の偏差値や難易度、就職状況についてご紹介しました。

高知工科大学は……

• 偏差値は工学系3学群で42.5～47.5、経済・マネジメント学群で47.5～52.5。標準より易しめ～標準程度の難易度
• 「日本にない大学」を目指し、クォーター制や学群制などの先進的な教育システムを積極的に取り入れている
• 香美キャンパスの景観の美しさは日本有数

この他にも、この記事では紹介しきれなかった高知工科大学の魅力や情報がたくさんあります。
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