山形大学は東北地方の南に位置する総合大学です。
その医学部は国公立大学の中で中堅~下位クラスの偏差値となっており、関東~東北地方を中心に全国の公立高校から学生が集まる学部となっています。
その実態はどのようなものなのでしょうか。今回は、山形大学医学部の概要と、山形大学に特徴的な2つの事項を取り上げて、その評判などを分析していきます。
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山形大学医学部はどんなところ?
2019山形大学医学部の学費・授業料
近畿圏を中心に西日本はその面積に対して医学部の密集度が高い地域であり、特に近畿地方は国公立大学の医学部が集積するエリアです。
一方で関東圏から以北は医学部が少なく、したがって、どの大学でも競争率が激しくなる傾向にあります。
少ない選択肢の中から自分の学力に合う大学は限られているため、受験生にとっては厳しい戦いを強いられる地域です。
その中で山形大学医学部はどのような立ち位置にあるのでしょうか。
山形大学医学部の入試偏差値や国家試験の成績など、他の大学の医学部と共通する特徴や世間の評判も含めて、細かく分析してみましょう。
入試偏差値は中堅~下位クラス、国家試験成績も妥当な成績だが、進級は緩め
山形大学医学部の入試時点偏差値は65.7、と全医学部82校中55位となっています。
この偏差値は地方国立医学部の中では下位クラスの偏差値です。
関東~東北地方の公立高校の中で上位~中堅層の生徒が集まる大学、といったイメージでしょうか。
一方、山形大学医学部の国家試験合格率を見ると89%、全医学部80校中53位となっており、入試偏差値から考えると妥当な成績となっており、こちらも国公立大学の中では下位クラスの成績となっています。
しかし、進級判定は比較的緩い状況が続いているようで、留年者数は他大学と比較しても少なめです。
ただし、卒業試験での留年者は国公立大学の中では多いようです。
これは国家試験の成績を出来るだけ向上させるための一つのカラクリとも言える手法で、国立大学では少ないパターンですが、私立大学医学部ではよく見られる現象です。
基本的に医学部の場合、国家試験の成績は進級の厳しさにダイレクトに影響されるため、この辺りの指標も含めて、受験校決定の際の参考にすると良いでしょう。
医学部受験を考える時に皆さんが一番最初に注目するのは、入試偏差値だと思います。
その次に立地や校風などを比較すると思いますが、多くの人が入学後に気付く重要なポイントは、生活圏の便利さや留年率・ストレート卒業率、国家試験の成績です。
これらの指標は受験生向けに大きく広報されることがない上に、医学部受験生の段階では意識が向かないのが現実です。
ほとんどの受験予備校でも、進路指導の際に取り上げられることはありません。
受験勉強に必死な期間ですから当たり前といえば当たり前なのですが、実態を知らないままに入学して後悔する、という学生は少なくありません。
期待と希望を抱いて入学する人がほとんどであるだけに、その落胆も大きいのが医学部であると言えます。
「こんなに簡単に留年するとは思わなかった」「試験の度に心が削られる」など、心身ともに病んでしまう人も多くいます。6年間という短くない時間を後悔して過ごすことのないように、色々な角度から受験校を検討することをお勧めします。
山形大学・2つの特徴とは
医学部では、どの大学も限られた時間の中で同じカリキュラムをこなすことが求められるため、大学独自の科目を設定することは難しく、選択できる授業がほとんど無いのが現状です。
また、医学という科学分野の特性上、研究室で扱うテーマも似たようなものになりがちです。
そのような中でも、大学ごとに目玉となるような特色があり、それによって大学の評判は変わってきます。
山形大学医学部の2つの特徴について見ていきましょう。
特徴1:「メディカルスキルアップラボラトリー」で学生全員がスキルアップ
山形大学の特徴の1つは、「メディカルスキルアップラボラトリー」と呼ばれる医療技術研修施設を持っていることです。
山形大学医学部のメディカルスキルアップラボラトリーは、医療用のシミュレータを多数取り揃えたセンターであり、擬似臨床実習を行うセンターとしては国内最大規模のものです。
ここでは、ACLS(心肺蘇生)や、超音波診断、気管支内視鏡、触覚機能付き内視鏡外科手術など、様々な臨床技術のシミュレータが設置されています。
医学部の学生は全員、臨床実習に入る前に、このセンターで臨床手技を身につけることが出来るため、患者さんに対して直接手技を行う前に、一定レベルのスキルを身につけて実習に臨むことが出来ます。
患者さんにとっても安心感のあるシステムであるとともに、学生も自信を持って実習に取り組むことが出来るため、結果的に臨床実習の成果も上がることが予想されます。
学生からの評判も高いようです。
このような大規模なシミュレータを持つ国立大学医学部は稀であり、山形大学医学部のメディカルスキルアップラボラトリーは非常に貴重な環境です。
特徴2:世界でも有数の最先端がん研究施設がある!
山形大学医学部のもう1つの特徴は、がん研究の最先端施設であるという点です。
山形大学医学部は全国の大学医学部で初めて「がんセンター」を設置した大学でもあります。
そのため、がんの研究については非常に最先端の取り組みを行なっており、研究施設も治療施設も非常に充実したものが揃っています。
重粒子線がん治療センターや「山形バイオバンク」といった、他の大学医学部には無いような施設があり、学部生のうちからこのような最先端の取り組みに触れられる環境にあるというのは、とても貴重なことです。
特に、山形バイオバンクのような取り組みは、地方大学ならではのコホート研究と言えるでしょう。
また、がんの「治癒」を目指した研究にも取り組んでおり、この方面に関心のある学生にとっては非常に魅力的な大学だと思います。
山形大学医学部で充実した6年間を
山形大学医学部は、入試偏差値は下位クラスであり、東北や関東地方の公立高校の生徒を中心として評判の高い大学です。
また、がん研究の最先端施設であることからも分かるように、基礎医学研究の土壌もしっかりと持っている大学でもあります。
多くの医学生は臨床医を目指しますが、山形大学のように研究の土壌の整った大学では基礎医学の研究医を目指すことも十分に可能でしょう。
地方国立大学ではありますが、勉学に集中して充実した学生生活を送ることが出来る良い大学だと思います。
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