東京医科大学は医科単科大学であり、私立大学医学部の中では「学費が安い医学部」「立地が良い」という特徴を持つ、比較的評判の高い大学です。
実際、6年間の学費は私立医学部の中でも10番目に安くなっています。
医学部受験生にとっては「偏差値が高めの私立専願の生徒が受験する医学部」といったイメージでしょうか。
偏差値は現在のところ82校中41位と比較的高く、受験生は首都圏を中心として全国から集まっています。
私立医学部の中では安い学費であり、都心に位置する利便性の高い大学という評判の東京医科大学ですが、その実態は意外と知られていないかもしれません。
今回は、東京医科大学医学部の概要と、2018年に明るみになった「収賄による不正入試」「差別入試」の問題を取り上げて分析していきます。
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東京医科大学医学部はどんな大学?
2019東京医科大学医学部の学費・授業料
1~6年:1,000,000円
1~6年:400,000円
1年:2,500,000円/2~6年:500,000円
東京医科大学といえば「学費が安い医学部」が必ず出てくる評判ですが、実際のところはどうなのでしょうか。
世間の評判からくる東京医科大学のイメージを丁寧に分析してみましょう。
学費は6年間で2900万円!私立医学部の中では安めの設定
東京医科大学医学部の学費は6年間で2900万円と、私立大学医学部31校中で10番目に安い学費となっています。
また、特徴的な奨学金制度も充実しているため、経済的に豊かでない家庭の子女であっても通うことは可能です。
ちなみに、学費が私立大学医学部の中で一番安い国際医療福祉大学で6年間1850万円、最も高額なのが川崎医科大学の6年間4550万円ですから、一口に私立大学医学部といっても学費の差というのはかなり幅があることがわかります。
医学部に入ると、学費以外にも書籍費や施設利用費、部活動にかかる費用、寄付金など色々な場面でお金がかかります。
6年間でトータルどのくらいの費用がかかるのか、さらにそれは「いつ」必要なのか、といったことを受験する前からリサーチして整理しておくと安心して入試に臨めます。
国家試験合確率は96%!全医学部で6位の好成績
東京医科大学の国家試験合確率は96%と、全医学部80校中6位と、かなりの好成績を修めています。入試時点での偏差値は82校中41位と、平均的ですから、入学後の教育環境が良いのだろうと推測されます。
医師国家試験の合格は、最終的には個人の努力に左右されますが、それまでの学校全体の雰囲気や取り組み方によっても大きく影響を受けます。
同じ入試偏差値ならば、国家試験の合格率が高い大学を選ぶ方が、将来的な安心を得られるかもしれません。
医学部差別入試の発端…収賄事件だけでなく差別入試も
東京医科大学医学部での「不正入試事件」から次々と明るみになった、医学部入試における「差別入試」問題ですが、事の発端は「収賄事件」でした。
報道の過熱はすぐに収まったため、受験生の中には詳しい状況を知らない人も多いかと思います。
事件の当初からの流れを追いながら、この事件の何が問題なのかを詳しく分析していきましょう。
不正入試から国際水準認証剥脱!今後の受験生は要注意
文部科学省の現役官僚である局長が、自分の息子を裏口入学させたことで汚職事件として逮捕され、様々な調査が行われた結果、東京医科大学の入学試験では特定の属性の受験生(女性)に対して得点を減点するという措置を取っていたことが明らかになりました。
受験生への差別は性別や浪人の年数で減点する措置以外に、出身校やその他の属性で特定の生徒を優先して合格させる、いわゆる「裏口入学」が行われていたのです。
東京医科大学が不正入試を行なっていた期間から推測すると、不正入試による被害者は少なくとも2万人と言われています。
「入学できる学力があったのに不当に不合格にされた」とされる人たちへの追加合格通知も行われましたが、そこでも女性を意図的に排除するなどして差別したことも明らかになり、東京医科大学の不誠実な特徴が明るみに出ることとなりました。
現在も、被害者の原告団が大学を相手に裁判を行なっており、問題は決着していません。
このような状況を受け、医大の教育状況などをチェックし、世界的な水準に達しているかどうかを認証する「日本医学教育評価機構」は、東京医科大学の認証を「不適合」に変更しました。
実質的にこれは「認証の取り消し」です。
認証取り消しが意味するのは「この大学の卒業生は世界水準では医学部を卒業したとは認められない」ということです。
日本医学教育評価機構によるこの認証は、米国の医師国家試験であるUSMLEの受験資格にも含まれています。
米国だけでなく、カナダやオーストラリアなどの多くの国も同じ認証のシステムを利用しています。つまり、今後の東京医科大学の卒業生は、海外で医師として働いたり研究活動を行いたいと思っても、出身大学が基準を満たしていないために、受験資格や留学VISAなどが認可されない可能性があるのです。
これは非常に重大な事態です。
大学側の不誠実な姿勢により、最も不利益を被ったのは差別をされた受験生ですが、その影で現在、東京医科大学に通う学生たちも不利益を被っているのです。
認証を取り消されたという事実から言えることは、今後の医学部受験生には東京医科大学の受験は全く勧められないということです。
これから日本は超少子高齢化社会になり、人口は減少の一途を辿るでしょう。
そのような社会の中で、医師として生きていくためには日本国内だけを見ていては残っていけません。海外でも渡り合える力がなければ、医師という仕事を続けていくことは難しくなるでしょう。
つまり、海外でも「医学部を卒業した」と認められる必要があるのです。
東京医科大学だけではなく、他にも不正・差別入試を行なっている大学はあります。
これらの大学の国際的な認証が取り消されないとは言えません。
特徴的で聞こえの良い入試形態は多くありますが、医学部受験生のみなさんはこのような状況をよく理解した上で、出来るだけ「クリーンな入試」を行なっている大学を受験することをお勧めします。
国際認証取り消しは重大事件、受験生は慎重に出願を
東京医科大学医学部は偏差値自体は全医学部の中でも平均的で、学費も安く、医師国家試験の合格率も非常に良いという特徴を持つため、評判だけを聞いているとポジティブな印象を持つかもしれません。
しかし、不正入試事件・差別入試問題によって、結果的に国際的な信頼を失うことになり、在学生たちは将来の進路を狭められる事態となっています。
これは重大な事案であり、医学部受験生の皆さんは、目先の評判にとらわれずに、慎重な出願をすることを強く勧めます。
参考文献
東洋経済ONLINE「入試不正で「現役医学部生」が声を上げる事情」
日本経済新聞「東京医大の国際認定取り消し 評価機構、入試不正で 」
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