防衛医科大学校は、全国の医学部の中でも非常に特殊な大学です。
正式には大学ではなく「大学校」という名称であり、管轄も文部科学省とは異なります。(また、「医学部」という名称ではなく、「医学科」です。)
その名の通り、「国の防衛のために働く人材を養成する場所」です。全国から優秀な学生が集まる他、年齢制限もあるため、かなりの難関となっています。
元々偏差値の高い集団である医学部受験生の中でも「トップクラス偏差値の優秀な生徒が受験する医学部」といったイメージでしょうか。
全国から受験生が集まる防衛医科大学校、その医学部の実態はどのようなものなのでしょうか。
今回は、防衛医科大学校医学部の概要と、防衛医科大学校医学部に特徴的な2つの事項を取り上げて、分析していきます。
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防衛医科大学校はどんな大学?
2019防衛医科大学医学部の学費・授業料
1年:0円
2~6年:0円
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2~6年:0円
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2~6年:0円
防衛医科大学校は、医学部受験生の中でもトップクラス偏差値の優秀層の多くが受験する医学部です。東大や京大など旧帝国大学医学部志望の人の多くは、一度は防衛医科大学校を受験したことがあるかと思います。
これは、9月と早い時期に志願が開始され、年内には合格が決定するためです。
期限はありますが滑り止めとして保留しておくことも場合によっては可能ですし、家庭の事情で大学の学費を払う・一人暮らしの生活費を賄うことが厳しい家庭の学生は、給与が貰えてなおかつ衣食住の面倒は全て見る、という防衛医科大学校は、偏差値の高さを差し引いても魅力的でしょう。
では、防衛医科大学校医学部がどのような大学なのか、他の大学の医学部と共通する特徴や世間の評判なども含めて、細かく分析してみましょう。
入校したら「学生」ではなく「防衛省職員」に!年齢制限・国籍要件も有り
防衛医科大学校は、全国の優秀な学生を中心に人気の高い医学部ですが、年齢制限が設けられています。受験資格は「18歳以上21歳未満の日本国籍」となっており、実質2浪相当までしか受験出来ないことになっています。
また、国籍についての要件は防衛医科大学校の学生は「防衛省職員(特別職国家公務員)」となっているためと考えられます。
「学生の身分は、防衛省職員(特別職国家公務員)であり被服、食事等は、すべて貸与又は支給されます。在校中は、毎月所定の学生手当が支給されるほか年2回の期末手当が支給されます。」「入校の際の入学金及び授業料等は徴収しません。」
「本人の医療費は、防衛省の病院等で受診した場合はすべて国が負担します。学生は、防衛省共済組合の組合員となり、その給付が受けられるほか、各種の福祉制度があります。」
とあります。つまり、防衛省の職員として給与が毎月支給され、さらに福利厚生として医療費も国費負担、衣食住等は全て貸与または支給、という特徴的なシステムで、まさに「身一つ」で入れる医学部と言えます。
ちなみに、現在の給与は月額113,300円(平成29年4月1日現在)となっており、これにプラスして期末手当が年に2回(いわゆるボーナス)が支給されます。
家庭の経済事情が厳しいけれど、医師になりたい、という志を持つ人にとっては、魅力的な制度と言えるでしょう。
医学部としてのシラバスはほぼ同じだが、訓練など自衛隊員としてのカリキュラムがある
防衛医科大学校のカリキュラムでは、1年次は概ね教養教育が課せられており、2年次から医学専門教育課程が始まる、という一般的な医学部のカリキュラムとなっています。
しかし、自衛隊員の幹部候補としての訓練は必須ですから、定期的に訓練の時間が設けられています。このため、普通の医学部よりもハードなスケジュールになることは想像に難くありません。
また、全員が運動部に入部することが義務付けられていますが、体力に自信の無い人や運動があまり得意でない人でも何とかなるようにはなっているようです。先輩後輩の縦の繋がりはきっちりとしているようですが、あまり堅苦しいものではない、という評判もあります。
さらに、平日は外出ができずに、長期休暇も短くなっているようです。これは、国家公務員としての立場があるから、とも考えられますが、訓練中の身分であるため、あまり自由な行動は許可されていないのでしょう。
真剣に入校を考えるのであれば、入学前にこの辺りの情報を精査してから決めるべきだと思います。入学後最低でも6年間という長い時間を過ごす場所ですから、自分がこのような環境で過ごしていけるのかどうか、改めて考える必要があります。
防衛医科大学校医学部・2つの特徴とは
医学部は総じてどの大学も似たり寄ったりなカリキュラムですが、防衛医科大学校はその中でも異彩を放つ医学部です。防衛医科大学校医学部の2つの特徴について見ていきましょう。
特徴1:実は日本で最先端の研究が出来る場所
防衛医科大学校は防衛省が管轄する学校ですが、医学科や看護学科のような学部だけではなく、大学院として医学研究科が設置されています。
国防に関する研究がどの国でもトップの予算を確保しており、そのレベルが国内の最先端であることは周知の事実ですが、日本も多分にもれず、防衛医科大学校の医学研究科で日本最先端の研究が行われているのは間違いありません。
つまり、東大よりも予算を潤沢に使える大学院というのは国内にそうありません。「最先端の医学研究をしたい!」と志す人にとっては、防衛医科大学校医学部へ入校するのが夢の近道と言えるでしょう。
その分、特別国家公務員としての責任もありますし、訓練など体力的にも精神的にも、普通の医学部生とは違った学生生活を送ることになります。
しかし、最先端の研究に学生時代の早くから触れることができるというのは、そのようなマイナスの側面を超えるくらいの魅力があると私は思います。
特徴2:義務年限は9年以上、自治医大と同等
防衛医科大学校に入校すると、特別国家公務員として給与が支給されるだけでなく、医療費や衣食住にかかる費用も全て国が負担してくれます。学費や入学時にかかる費用も無料です。
しかし、全て無料で済ませられるには訳があります。防衛医科大学校の卒業生は、義務年限として卒後9年以上、指定の関連病院等で働くことが義務付けられています。これを守らない場合は、6年間にかかった費用を全額、一括で返済しなければなりません。
しかし、これと同じような制度を設けているのが自治医科大学です。
自治医科大学は各都道府県がお金を出し合って設立した「僻地医療に従事する医師を養成する医学部」ですが、こちらは学費が無料で、卒後9年間(就業年限の1.5倍)を僻地医療に従事することで学費の返済が免除されます。
また、生活費等は自分持ちですが、月に5万円から10万円程度の貸与制度があり、貸与されたお金は義務年限中に返済しなければなりません。
2つの大学を比べると、金銭的な負担は防衛医科大学校の方が軽いようです。
もちろん、訓練に従事しなければいけない点や特別国家公務員として行動の自由は制限されることなど、考慮しなければいけない点はありますが、金銭的な事情で医学部にはいけない、と諦めている人は一度考えてみても良いのではないでしょうか。
防衛医科大学校医学部は志高く意志を貫ける人にはぴったりの環境
防衛医科大学校医学部は偏差値も、入校してからの厳しさもトップレベルですが、特徴ある大学としてから全国からの評判はかなり高い大学です。
国を守る一員となり、自分の意志を貫ける人にとっては、一度はチャレンジする価値のある大学でしょう。
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