「日本の医学部は日本人がとても多く、日本人の学生が日本の医師になるためのものである。」と、思っている方が結構な数います。
それは全くの外れで、日本の医学部の外国人入試が少ないことや、言語的な問題によって少ないだけで、外国の方が一般入試を受験して入学しても全く問題ありません。
実は最近危惧されていることがあります。
それはお隣の国の中国から留学生が日本の医学部にやってくる、ということです。
それによって起こるのは医学部受験生の数が膨大しさらに入学しにくくなることです。
この記事では中国人留学生が一般入試で日本の医学部にやってくるかもしれない未来についてお話しします。
今のままでは、将来、医師免許を手に入れるために国内のライバル達だけでなく大量の海外の学生と戦う必要が出てくるかもしれません。
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中国人が日本の医学部に来ることで起きるデメリット
中国では医学部というのはあまり人気のない学部です。
というのも、中国の医師というのは日本の医師よりも給料が安く、労働環境の悪さやクレームや暴力事件などに頻繁に巻き込まれているためです。
2013年と少し記事は古くなりますが、こちらの記事では中国医療界における労働環境の悪さや医学部の人気の無さが掲載されています。
中国人からすれば医学部というのは「優秀な生徒は医学部には行かない」という風に言われているのだそうです。
しかし、少しでも中国のお隣に目を向けてみるとどうでしょうか。
医師という職業は日本では少なくとも中国よりも高給取りな職業です。
さらに医師免許を持っているだけで名声と信頼も付いてくる、素晴らしい職業です。
さらに高い医療技術によって全世界で通用する医師にもなれるかもしれません。
いつかそういった点に大量の中国人留学生が目をつけて日本に押し寄せるかもしれない、というのです。
その際に起こってしまう問題についてご説明しましょう。
医者が減る
日本の医学部を卒業して医師免許を手に入れても「日本で働かなければいけない」という規則は今のところ存在しません。
もちろん日本の医師として働く場合は指定の場所で初期研修を二年行う必要がありますが、海外で働きたい場合は別に日本で研修をする必要がないのです。
極端な話にはなりますが、医学部に入学した全学生の内30%が中国人だった場合、最悪のケースでは全員が中国に帰ってしまえば新しい医師が30%減ってしまう可能性があります。
地方の医師不足が大きくニュースになって久しいですが、これはとても“痛い”問題です。
医学部に入りづらくなる
現在の医学部の定員はおよそ9500人です。
そして総志願者数は優に15万人を超えます。これだけでも倍率はおよそ16倍になります。ここに中国からの学生がたくさん来てみればどうでしょうか。
そして中国などの海外からの受験生となるとその学生の頭はとても良いはずです。
今でこそ現役で受かる学力だったとしても優秀な中国人留学生に抜かされて浪人ルートになることも想像に難しくありません。
中国人が日本の医学部に来ることで起きるメリット
先ほどはデメリットについてお話しましたが、逆に中国人留学生が日本にやってくるメリットもあります。それについてお話しします。
日本の医学部の学力レベルが上がる
先ほども話したように、中国人に限らず留学生はとても優秀です。
留学生が日本の医学部へと大挙した際には、日本の学生も学力をあげて医師免許を手にするべく必死に勉強することになります。
医師国家試験は相対評価の試験ですから、およそ下位1割は不合格になります。
そこに入らないように、そして優秀な学生を追い越すべくしのぎを削ることでしょう。
海外の優秀な人材を受け入れるきっかけとなる
現在の日本の医療界では海外からやってきた医師は殆ど見かけません。これは現在大学病院で働く先生方も仰っていました。
たしかに日本の医療というのは世界的に見ても高い位置にありますが、極めて優秀な医師、そして極めて優秀な学生というのは世界に散らばっています。
日本の医学部へ留学生が入りやすくなれば、そういった人材を日本の医療界へと引き込むチャンスになります。
またそれに伴い、すでに海外で医師となった方々が日本の医療界へとやってくるきっかけとなる可能性があります。
いずれにせよ、日本の医療に多大な貢献をもたらしてくれるでしょう。
今の中国人が日本の医学部に来ない理由
しかしこれほど待遇の良い日本の医学部ですが、どうして中国の学生は日本の医学部を目指さなかったのでしょうか?
それには色々な要因が関わっていると考えられます。次にその要因についての考察をご紹介します。
言語の壁
やはり中国人にとってネックなのはコミュニケーション、つまり言語の壁でしょう。
というのも普段私達が使っている日本語は世界でも有数の難関言語として知られています。
日本の医学部の入学試験において外国人入試や留学生入試の数は少ないです。
さらに面接や小論文といった日本語必須の試験も必ずと言って良いほど存在するので、日本語を母国語としない中国人などの留学生はそもそも医学部の受験段階で大きなハードルを課せられます。
さらに努力して医学部に入学したところで、ほとんどの講義・実習は日本語で行われます。たまに英語で行う所もあるようですがごく少数になります。
そのため日本人の医学生よりもさらに多くの努力が必要となってくるのです。
つまり、中国人はわざわざ難解な日本語で医学を学ぶより、学びやすく汎用性が高く全世界で使用できる英語圏の大学で学び、そちらの医師免許を手に入れる方が遥かに効率的なのです。
資金の壁
日本に限らず全世界どこに行っても留学はお金がかかります。
交換留学なら大学側が資金を出してくれることもありますが、私費留学ともなればそれはやはり多大な資金がかかります。
さらに私大医学部ともなれば学費だけでも家一軒は買えてしまうほどの資金が必要です。
経済的に裕福な層の数が多い中国ですが、やはりそれほどの資金を出せる人々は一握りです。
さらには成績もトップクラスでかつ日本語が流暢でないといけない、となるとその条件全てに当てはまる人は少ないのが現状です。
結局のところ得なのか、それとも損なのか
結局のところ、中国人留学生が一般入試で日本の医学部にやってくるかもしれない未来は日本にとって得なのでしょうか、それとも損なのでしょうか?
『日本』という大きなくくりで見れば、医療技術の発展に貢献し、医学生や医師のレベルを底上げしてくれることになる可能性が高いので得と言うことができるかもしれません。
しかしその未来に医師免許を狙って医学部を受験する皆さんからすると、ただでさえ少ない枠を取り合うライバルが増えるのですから、損になるのかもしれません。
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