浪人生は不利になる?2020年度から変わる医学部入試について解説

浪人生は不利になる?2020年度から変わる医学部入試について解説

2020年度の試験を最後に、共通1次試験としてのセンター試験は廃止されて、新たに「大学入学共通テスト」が施行されます。これを筆頭に、大学入試の制度は大きな転換期を迎えており、その変化に伴って、医学部受験がどのように変わるのか、まだまだ不透明な点が多く、現在高校生の人たちはもちろん、浪人生への対応措置なども含めて、不安の大きい改革です。

特に情報戦となる医学部入試においては、医学部受験生の不安はただならぬものでしょう。

しかし、施行されることが今のところ決まっている以上、医学部受験を志すみなさんは、新しい医学部入試に対応していくしかありません。

具体的に>医学部入試の何が変わるのか、医学部受験をする上で何をしていけば良いのかについて、分析していきましょう。

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2020年度から始まる大学入試制度の改革とは

大学入学共通テスト

2020年度から始まる大学入試制度の改革、その具体的な内容について1つずつ見ていきましょう。

大きな変化はセンター試験廃止大学入学共通テストの開始

現行の「大学入試センター試験」は2020年度(2020年1月)を最後に廃止され、「大学入学共通テスト」が施行されます。

大学入学共通テストが適用されるのは、2019年度現在、高校2年生の生徒からで、今年高校3年生の人には、是非とも現役合格を目指してほしいと思いますが、高校生の間は不確定要素も多く、また受験勉強に割ける時間は少ないため、万が一のことを考えて新制度についても把握しておくことが大切です

その時になって慌てたのでは、現役の高校生などきちんと準備してきた人に遅れを取ることになりますし、メンタル面の管理のためにもリスクヘッジをしておくにこしたことはありません。

名称の変更はともかく、その内容の変更点としては大きく3つが挙げられます。

1つ目は、一部科目における記述テストの導入です。現在のところ、国語のうち現代文の分野数学の一部の問題について導入が予定されています。この記述式の出題については、まだ論争が続いており、ソフトランディングすら難しいような状況で、今後の状況次第では、どうなるかわかりません。少なくとも初回の2021年の施行時に間に合うかは五分五分といったところでしょうか。

2つ目は、英語の試験の評価項目が従来の「読む」「聞く」に加えて、「話す」「書く」の4技能になったことです。これは、グローバル化が急速に進展する現在の情勢において、英語によるコミュニケーション能力が重視されるようになってきていることから、大学入試においても「読む」「聞く」だけでない、4技能を評価する必要性がある、という視点によるものです。

3つ目は英語の試験における民間試験の導入です。センター試験のような大規模な試験で「書く」「話す」の技能を評価することが難しいため、民間試験で代用してこれに当てようという試みのようです。

これについても一悶着あり、具体的には大学側が民間試験の成績を利用するかどうかについてなのですが、今まで「民間試験の成績を利用する」と公表していた大学が、一転して「利用しない」としました。理由など、具体的な事情については後述します。

英語における民間試験・資格の成績利用の導入、その実態と大学側の対応について

現在、最も問題とされているのが英語の試験についてです。大学入学共通テストでは、英語の試験について、一部の民間試験の点数や資格取得で代替できるとしています。

具体的には、ケンブリッジ英語検定、TOEFL iBT、IELTS、TOEIC®︎(L&RおよびS&W)、GTEC、TEAP、TEAP CBT、実用英語技能検定(英検)、の成績を利用することができます。

受験生は高校3年生以降の4~12月の間に受検した2回までの資格・検定試験の結果を大学に提供することで、成績に替えられます。成績によって、「CEFR(セファール)」というクラスの6段階(C2~A1)に分類され、これは利用する大学によって合格基準などが異なっています。

ここに挙げた民間試験・資格は、いずれも英語の試験ですが、試験・資格によってその難易度は大きく違っています。例えば実用英語技能検定、通称「英検」では、3級取得は小学生でも可能なレベルであり、中学3年生であれば比較的簡単に取得できるレベルですが、共通テストでは最下位レベルの”A1”が英検3級となっています。

これは果たして大学入学レベルの学力と判断する材料として許容して良いものなのでしょうか。医学部入試に適用して良いようなレベルの試験なのでしょうか。

また、英検準1級とIELTS 5.5-6.5がCEFRでは同じ”B2”に設定されています。私の体感と周囲の医学部生との話を総合した意見ですが、IELTSはかなりハードルの高い試験であり、日本語ができればそこそこの点数を取得できる英検と海外大学留学に求められるレベルのIELTSでは、決して同等とは言えないと考えられます。

つまり、同じCEFRのクラスを取得するにも、どの試験・資格を受けるかによって大学入試の難易度が大きく変わるのです。これでは公平な試験とは言えません。

このような実態を受けてか、全国の国立大学82校のうち少なくとも13校が「中学卒業程度」を出願資格とすることを明らかにしました。

民間試験では、都市部以外の開催が極端に少なく、受験機会が均等でないこと、英語が不得意な高校生に対して実質的に門戸を閉ざしてしまうことになること、そもそも経済的な事情で民間試験を受験するための教材や受験費用を工面することができない高校生も現実に存在することなど、様々なことを考慮した上でこのような対応になったようです。(出典:2019年5月8日 毎日新聞Web より)

その他に考えられる欠点としては、浪人生には受験機会がそもそも少ないことで現役生よりも不利になってしまうことなどが挙げられます。浪人生の多い医学部受験では深刻な問題です。

また、医学部入試には非常に多い社会人の再受験などの対応についてもまだ不透明です。このような欠陥だらけの制度では受験生は安心して勉強に取り組むことができません。

医学部受験において2020年度以降、変わっていくこととは?

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2020年度の大学入試制度の改革によって、大学入試の様相は大きく変わりますが、その中でも特に医学部入試については、どのように変わっていくのでしょうか。

医学部入試についての変化は他学部と同じ、むしろ…

2020年度以降、大学入試制度の変更によって、医学部入試の形態も大きく変わると予想されますが、概ねの変更点は他学部と変わらないと思われます。

新制度では、学力の他に、思考力判断力協働性・主体性なども評価軸に入っており、具体的には大学入学共通テストによる学力試験で出願資格をクリアした大学に出願し、大学ごとの個別試験で記述式や論述式で出題、さらに調査書や志望理由書などで適性を見る、となっています。

これは、従来の医学部入試そのものです。医学部受験をずっと志してきた人からしてみれば「当たり前」ともいうべき評価項目でしょう。

つまり、医学部入試で問われてきたような能力が、一般の他の学部入試でも適用される、ということでしょう。この点では、医学部受験をする人は、他学部の受験者よりも影響が少ない、と言って良いと思います。

しかし、浪人生にとっては、センター試験の廃止に伴って、記述試験の対策などが必要になりますし、民間試験による英語試験の成績評価も、医学部受験をする人にとっては大学側の対応によって大きく方針を変える必要が出てきます。

変わっていく大学入試制度、公平とは言えない現状を乗り切っていこう

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2020年度、大々的に行われる大学入試制度改革は、医学部受験だけでなくどの学部・大学を受験をする人にとっても、また大学教員にとっても負担の増える改革であることは明白です

また、学力以外の面で評価されるウェイトが増えたことによって、家庭環境による学力格差、ひいては経済的な格差は広がっていくと考えられます。

また、学力だけで評価しない、という面が強化されることで、浪人生に不利になるような制度設計になっていることは否めません。「失敗を許さない」という日本の悪習が見え隠れして、非常に残念な気持ちもあります。

このような公平とは言えない現状ですが、医学部受験を目指すみなさんには、できるだけ早いうちから情報を取捨選択し手に入れることで、大きく変わった医学部入試を乗り切って、合格を勝ち取ってほしいと願っています。

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