子どもが医学部に行きたい…サラリーマン家庭の医学部進学戦略とは?

子どもが医学部に行きたい…サラリーマン家庭の医学部進学戦略とは?

「医学部の学費が高い」ということは誰もが知っていることですが、医療関係者がいない家庭の人がよく誤解していることとして「国公立大学も、医学部は学費が高いんでしょ?」ということです。

少し調べれば分りますが、国公立大学は基本的にどの学部も学費は同じです。(ただし、教科書や実習で用いる道具などの教材費は別途かかります。

また、私立大学の医学部であっても、大学によって学費にはかなり差があります。つまり、医学部の学費は一概に高い、とは言えないのです。

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医学部学生の家庭の収入層

収入格差を表す絵

医学部に進学するのは裕福な家庭の子どもだけ、というわけではなく、非課税家庭の子どもや一般企業サラリーマン家庭の子ども、医師の子ども、とかなり幅広い収入層の家庭の子どもがいます。

今回は、サラリーマン家庭の子どもが医学部へ進学するために、医学部進学にかかる費用や在学中にかかる学費の総額、奨学金の利用のコツなどについて、国公立大学と私立大学について比較しながらご紹介していきます。

医学部進学のためにかかる費用を徹底分析!

分析している様子

医学部に進学するためにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。受験勉強にかかる費用から、出願の際の費用、滑り止め校に払う入学料など、進学までにかかる費用を分析していきましょう。

受験勉強にかかる費用は国公立大学・私立大学とも変わらない

医学部に進学するのであれば、ほとんどの人が一度は塾や予備校に通うことになると思います。

国公立大学であっても私立大学であっても、受験勉強にかかる費用はほとんど変わらないでしょう。

現役生であれば週に1、2回の通塾で月に3~5万円、さらに個別授業などが加わればプラス5万といったところでしょうか。

浪人生であれば、通常の授業と集中講義等の料金を合わせると、1年間で100万円前後かかります。

また、参考書や問題集、過去問などを購入することを考えると、人によって幅はありますが、5~10万はプラスして考慮すると良いでしょう。

出願費用は私立大学が圧倒的に高額

出願にかかる費用は圧倒的に私立大学が高額です。

センター試験は3教科以上受験で18,000円、国公立大学は一律で約17,000円(公立大学は都道府県によって多少のバラツキ有り)と、安くはありませんが、非常に高額というわけでもありません。

しかし、私立大学はセンター利用入試で25,000円から、上は60,000円とかなり高額です。

一般入試では平均が50,000~60,000円と国公立大学の2~3倍です。私立大学を1校受けるだけでもかなりの負担になることが分かります。

遠方であれば宿泊費・交通費も!入学料の振込期限も考慮しよう

私立大学の多くは都心部に集中しており、遠方からの受験生は泊りがけで複数の私立大学を受験する「遠征」をすることになります。これにかかる宿泊費も小さくありません。

1泊1万円程度と考えると、食費などを含めて1週間ほどの滞在で10万円かかります。さらにここに交通費も計上しなくてはいけません。

さらに、私立大学はほとんどの場合、国公立大学よりも合否が先に発表されるため、合格して滑り止めとして押さえておくためには、入学料の振込が必要です。

入学料も、国公立大学は27万円前後で統一されていますが、私立大学の場合はかなり幅があります。

例えば、岩手医科大学は200万円、獨協医科大学は100万円、慶応義塾大学は20万円、とバラバラです。

サラリーマン家庭でこの額の入学料を工面するのは簡単ではないでしょう。

滑り止め校に払うお金はほとんど掛け捨てと同じなので、国公立大学と私立大学を併願する場合は、入学料とその振込時期についてもよく考慮しておきましょう。

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医学部進学が決まったら…学費とその他の費用で年額〇〇万円

お金を投げる人

医学部に進学することがめでたく決まったら、年間にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。国公立大学と私立大学で、それぞれ見てみましょう。

国公立大学の学費は安い、とはいえ教材費はそれなり

現在の国公立大学の学費はおよそ年間55万円(公立大学は都道府県によってバラツキ有り)となっています。

これを安いととるか高いととるかは人によるかと思いますが、それなりにまとまったお金が必要であることは間違いありません。

国公立大学は学費が安い、と言いますが、教科書や道具などにかかる費用はそれなりです。

医学書は総じて高額で、低学年であっても1冊1万円は当たり前、3万円もする教科書が指定されていることもあります。

つまり、学費は安くても勉学に励むにはそれなりにお金が必要であるということです。

教科書にかかるお金は学年によっても異なりますが、だいたい1年間で5万円くらいでしょう。

私立大学の学費はピンキリ!最安でも年間380万、最高は1000万超!

私立大学の学費は上から下までかなり幅があります。私立大学医学部で最安と言われている慶應義塾大学では初年度納入総額がおよそ380万円となっています。

また、川崎医科大学は1,200万円と、1,000万円超えです。

年間にかかる学費やその他の施設費などの額も大学によってまちまちですから、出願前にきちんとリサーチしておくことが必要です。

奨学金や授業料免除を上手に活用しよう

帽子とノート

医学部進学に高額の費用がかかることが数字として実感していただけたかと思います。

それでは、サラリーマン家庭でも医学部進学を叶えるためには、どのように工夫すれば良いのでしょうか。

一番の方法は奨学金授業料免除でしょう。各大学で行われている制度について、国公立大学と私立大学に分けて見ていきましょう。

国公立大学の授業料免除、基準がかなり厳しく(2020年4月から)

国公立大学では授業料免除の制度が設けられており、大学によって多少基準に違いはありますが、概ね「日本学生支援機構で第一種(無利子)の奨学金貸与がされる」家庭の学生に対して、免除が適用されます。その中で、全額・半額・月割賦などに分けられます。

ただし、先日法案成立が決まった「大学等修学支援法」によって、国公立大学の授業料免除基準は厳しくなることが予想されています。

メディア等で騒がれていますが、「大学無償化法」という報道は嘘であり、実際のところは「今よりも授業料免除される学生を減らす」法案となりました。

日々変わり続ける学費

授業料を免除される学生が減らされることについては、医学生を始めとして、多くの大学生が不安に思っていることです。

医学生は特に、カリキュラムが過密で、アルバイト等がなかなか出来ない状況がありますから、現在授業料を免除されている人が免除されない、となると、国立でも年額54万の学費を工面するのはかなり厳しいでしょう。

この辺りの事情も、刻一刻と変わっていきます。国公立大学を希望する人は、事前によく調べておきましょう

また、卒後の勤務先を出身県や特定の僻地にすることを誓約することで、一定額の学費と生活費を給付する、という都道府県ごとの奨学金もあります。

こちらも、卒後の研修先が限定されてしまうなどのデメリットはありますが、サラリーマン家庭であれば検討しても良いかもしれません。

私立大学は卒業生寄付金で免除や奨学金が豊富

私立大学は古い大学ほど卒業生が多く、またそれなりに裕福な学生が通うため、卒業後も経済的にゆとりのある人が多くなります。

そのため、卒業生による寄附金で設立された基金などで、学費の免除や奨学金の給付制度が多く設置されています。

私立大学だからと言って、必ずしも国公立大学よりも負担が大きいということはなく、むしろ制度が充実しているため、国公立大学に通うよりも経済的負担は軽い場合もあります。

受験前にこの辺りをきちんと調べて、比較しておきたいものです。

好成績はマスト!制度を上手く活用して医学部進学を叶えよう

世間のイメージでなんとなく「高額」と思われることが多い医学部進学ですが、具体的に分析していくと、奨学金や免除制度を上手に活用することで、かなりの減額が可能です。

受験費用などではまとまった学費が必要であることは間違いありませんが、学資保険などを活用することで必要な時期に必要な額を揃えられる様にしておけば、サラリーマン家庭でも医学部進学は夢物語ではないのです。

かく言う私は、一人親のサラリーマン家庭でしたが、免除制度とJASSOの奨学金(無利子/有利子の借金制度。2019年現在。2020年度からは給付型奨学金が開始)で国公立大学の医学部進学を叶えました。

いずれにしても、収入面の基準はありますが、できるだけ浪人せずに入学し、好成績で留年しないことが条件になることがほとんどなので、サラリーマン家庭で医学部進学を目指す人は、現役で入学し、好成績を維持することをまず第一にしましょう。

 

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