医学部受験において、「理科の選択をどれにするか」という命題は大きな決断になります。
「医学部に行くんだから生物を履修した方が良いのでは?」「物理の方が簡単だと聞いたから…」「生物・物理でいく!」など、人それぞれに選び方はあるでしょうが、みんな同じように迷いが生じることだと思います。
一般的には、どの科目を選んでも平等な難易度になるように問題は作成されますが、得点しやすい分野・得点しづらい分野はどの科目にもあります。また、私立医学部であれば科目指定がある大学もあるので、ますます迷ってしまいますよね。
今回は、医学部受験において、理科の選択科目はどのようにして選んでいけば良いのか、着目するべきポイントを紹介しながら、賢い選び方を分析していきます。
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医学部受験の理科の指定はどのようになっているのか
医学部受験において理科の選択指定は年によって変更が多い点です。2019年現在、公表されている理科選択の指定について見てみましょう。
国公立は全て3科目指定が廃止に。基本的にセンター試験と同じでOK
2020年度入試では、九州大学医学部においても、センター試験と個別試験で異なる1科目をうけなければならない、いわゆる「理科3科目指定」が廃止になりました。
かつては、京都大学や東京大学でも理科3科目指定が行われていましたが、これで全ての国公立大学の医学部受験で、理科は任意の2科目を選択することになります。つまり、センター試験と個別試験で、受験する理科の科目は同じで良いということです。これは受験生的に嬉しい変更点ですね。
今後、情勢によっては理科3科目指定が復活することも考えられますので、2021年度以降に医学部受験をする人は、その年の選抜要項・募集要項をきちんと確認しておきましょう。理科の選択科目のベストな選び方は年によって変わります。
だからと言って「生物も物理も勉強しなきゃ!」と焦る必要はありません。
余談ですが、入試の科目については入学した医学生たちのレベルによって「理科はなしでいいんじゃないか」「いや、レベルが下がってきているからもっと難しくしても良いのでは」など、医学部の教授陣で流動的に話し合われて決まっています。
そのため、入試科目のマイナーチェンジは多々あるもの、と心得ておきましょう。
私立の場合は理科1科目選択の入試方式もある
私立医学部では、一部の入試方式で理科1科目のみで受験できるようになっています。例えば、東海大学(A方式)や兵庫医大(高大接続型)は今のところ、理科1科目で受験可能であると予想されます。(今後の入試要項の発表によって変更される可能性はあります。)
理科が苦手な人や、どうしても2科目をきちんと仕上げるのが厳しい、という人はこのような入試方式を利用することも考えておくと良いでしょう。
大手の予備校のHPなどでは随時、最新の情報を追加してまとめたデータをアップしていますので、こまめにチェックしておきましょう。
医学部受験では物理と生物、どちらを選ぶべきなのか
医学部受験をする人ならみんな、一度は悩んだことがあるでしょう。「物理と生物、どっちが有利なの?」という問題です。
これは一概にどちらが良いとは決められないのですが、物理と生物、それぞれの科目の医学部受験における特性をよく理解することで、「自分にとってベスト」な選び方ができると思います。
ここからは、医学部受験における、物理と生物の特性について分析してみましょう。
物理選択は「数学強者」にとって圧倒的に有利
物理はその学問的特性から、数学と切っても切り離せない関係にあります。単純な公式を導出する過程でも、高校数学全般の基本的な知識がしっかりとしていないとスムーズに理解できない、という場面が多々あります。
医学部に入ったら物理は使わないんじゃないか、と思って生物を選択する人もいるかもしれませんが、医学部でも物理の考え方は非常に役に立ちますし、専門科目の1つに「医用システム工学概論」という講義があります。
この講義では「松葉杖は負傷した側とそうでない側、どちらに持つのが物理的に正しいか」「骨の耐荷重は?」「超音波検査の仕組みは?」など、臨床現場で必要な知識を学びます。
これらはいずれも高校物理で学習するような基本的事項を知っていなければ理解できませんし、医療機器を正しく使用することはできないのです。
つまり、物理の知識は決して無駄ではありません。医学部受験はする人は数学を得意とする人が多いと思いますので、理科の選び方として「化学と物理」というチョイスはベターだと思います。
ただし、物理の試験は、ある程度パターン化されているとはいえ、後に続く問題は前の問題を受けて答えるような形式が多いため、最初の思考で詰まってしまうとその問題全てが得点できない、という事態になりかねません。部分点を期待できない科目とも言えるので、ある種リスクは高いと言えるでしょう。
したがって、数学がある程度得意で、物理のような計算の多い試験に苦手意識が薄い人であれば、医学部受験では物理を選ぶのが良いでしょう。
生物は暗記量が必要不可欠、論述力が勝負の要
高校生物では、絶対的な暗記量が必要不可欠です。「暗記科目じゃない!」と言う人もいるかもしれませんが、基礎的な事項をどれだけ暗記しているかは、重要な学力パラメータの1つです。
生物では「知らなければそもそも手が出ない」という問題がほとんどなので、得点力アップに暗記量は必要不可欠な要素です。
また、センター試験では暗記勝負な面が大きいですが、個別試験では論述問題がほとんどであるため、論述力も求められます。論理的な文章を書く訓練は一朝一夕にはいきませんし、第三者による添削も必要になります。この点では物理よりも大変な科目と言えるでしょう。
恐らくみなさんが気になるのは、高校生物を履修することで医学部入学後に有利になるか、ということだと思います。
結論から言えば、高校生物履修者が特段有利になるということはありません。大学入学後に生物未履修の学生向けに補修講義が開講されている大学もありますし、市販の簡単なテキストを1冊読むことで、十分に基礎医学の講義に取り組むことができます。
したがって、医学部受験をするからといって必ずしも生物を選択する必要はありません。暗記が得意で論述力がある・鍛えられる人は、是非選択しましょう。
医学部受験の理科選択、悩んだら「好き」で選ぼう
医学部受験において、理科をどの科目にするかは非常に悩ましい問題ですが、色々な人の話を聞いていると、何が自分にとってベストの選択なのか、分からなくなってきます。
そのような時は、「自分が好きな科目」を選びましょう。難易度や試験のスタイルなどに差はありますが、自ら進んで楽しく勉強できる科目が一番の強みになります。
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